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新入社員の半数が10年で退職意向。退職の理由に男女差がクッキリ?

皆さん、こんにちは!マイナビ転職 公式note編集部です。

マイナビ転職では2019年から毎年、その年の4月に入学した新入社員の「仕事観」を探る、「新入社員の意識調査」を実施しています。

今回は、本調査を担当したマイナビ転職編集部の本城さんに調査の詳細を伺いました。先日リリースした2022年版のなかから、勤続年数と辞めたい理由にフォーカスして、抜粋版をお届けします。

2022年4月に入社した新入社員に今の会社で何年くらい働くかを聞いたところ、「3年以内」が28.3%、「10年以内」が51.0%。約半数は10年以内に退職する意向のようです。一方、「定年まで」の回答は18.5%。2割を切る結果になりました。

この調査を実施しているのは6月下旬ですから、インターンに書類選考に面接と長い時間と労力をかけて入社した会社にもかかわらず、入社3カ月の時点で早くも、こんなに多くの新入社員が退職を検討していることに驚いた方もいるのではないでしょうか。

新入社員の退職検討に、コロナ禍の影響は?

この結果についてたびたびご質問を受けるのが、「コロナ禍が退職意向に影響しているのでは?」ということ。

実際、新入社員でなくとも、コロナ禍では営業活動を停止せざるを得ない企業があったり、オンライン商談やテレワークが普及したことで働き方が変わったり、自身の働き方、勤務先や身を置いている業界の先行きについて考えさせられた人も少なくないはずです。

新入社員も2019年(コロナ禍以前)と2020年(コロナ禍が始まった直後)の調査結果を比較すると、「3年以内に退職予定」「10年以内に退職予定」は5.9%の増加、「定年まで働く」は3.9%前後の減少。2020年の調査では、「会社のコロナ対応に不満がある」と回答した新入社員(22.6%)の約半数が3年以内に退職予定と回答するなど、一定数の影響が見られました。

ただし、今年の新入社員は、大学3年生の4月に全国的な緊急事態宣言を経験した世代。入社直後や就活の最終局面でコロナ禍に直面した世代とは異なり、新しい生活様式や新しい働き方、withコロナ、afterコロナの業界の展望をある程度理解したうえで、就職先を決めたと考えられます。

にもかかわらず、「3年以内」「5年以内」の2020年から2022年への変化を見てみると、それほど下がっていない。とすると、コロナ禍以外のところにも、退職を検討する大きな理由がありそうです。

新入社員のキャリア観は「今の自分に合わせて仕事を変えていく?」

では、彼らはなぜ、退職を検討するのでしょうか。理由を聞いてみたところ、以下の結果になりました。

TOP5を見ると、「ライフステージに合わせて働き方を変えたい」「いろいろな会社で経験を積みたい」「転職でキャリアアップしたい」など、ポジティブ寄りな理由が3つ。ネガティブ寄りな理由としては給料が2位に入っていますが、「仕事がハード」は上位4つに比べるとそれほど高いとは言えない数字。

また、よく転職理由と言われる「人間関係」はランクインしていません。ちなみに、コロナ禍を受けての転職理由として挙がりそうな「業界・会社の先行きに不安」「在宅勤務など働き方を選べる会社で働きたい」も低い結果となっていました。

このことから考えられるのは、勤続意向が低い傾向は確かにあるものの「辞めたいほど今の仕事に不満がある」という人はそれほど多くない可能性。さしあたって不満はないけれど、キャリアステージ、ライフステージ、やりたい仕事など「その時々の自分に合わせて、よりマッチする仕事に乗り変えていく」というキャリア観がうかがえます。

かつてのように終身雇用を期待しにくい時代。転職が「珍しいもの」ではなくなっており、若者自身の価値観も「勝ち組」から「自分らしく」へとシフトしている現状。これらの要因も相まって、彼らにとっては同じ企業に留まり続けることより、自分に合った仕事を見つけて転職していくほうが、人生を豊かにする方法として現実的なのかもしれません。

ライフステージの変化が仕事に及ぼす影響について、男女で意識差が!?

また、もう一つ注目すべきは、男女で理由の違いが顕著に現れた点。男性は「キャリアアップ(33.9%)」「いろいろな会社で経験を積みたい(31.7%)」など、自身のステップアップに関係する理由が高く、「ライフステージに合わせて働き方を変えたい」は14.4%と少数。

対して女性は、「ライフステージに合わせて働き方を変えたい(43.6%)」が、2位の「給料(26.0%)」に大差をつけてトップに。結婚や出産を経ても仕事を続けたい(続けなければ生活できない)という考えの現れと見ることができますが、一方で、今の仕事はライフステージの変化に適応できないと感じているとも言える結果です。

これは、女性は産休・育休による長期休暇があり、職種によっては産前は身体への負荷が少ない業務への配置転換によってキャリアの断絶や昇進スローダウンなど影響が分かりやすい一方、男性は育休の取得もまだ10%前半(2021年度雇用均等基本調査)に留まり周りに事例が少なく、ライフステージの変化が働き方、ひいてはキャリアへ影響する可能性を想像しにくい状況であることも原因の一つかもしれません。

とはいえ、国による男性育休取得促進の後押しもあって、近年の男性育休取得率は少しずつ上昇傾向。ライフステージの変化が働き方に影響することを先輩社員の姿をとおして目にする機会が増えれば、男性も、より早い段階からライフステージとキャリアステージについて考え、必要であれば備えることができるようになるかもしれません。

ここまで調査結果を見てきて特筆すべき点は、やはり、男女ともに不満や不安による「辞めたい転職」よりも、キャリアステージやライフステージに合わせてよりマッチする仕事を求めていく、ポジティブな転職の意識が上回っているところ。

転職活動のあり方も、コロナ禍を経て、オンライン合同説明会やオンライン面接を導入する企業が増加するなど変化が。働きながらでも転職活動を進めやすい環境が整ってきました。

「自分」に合わせて仕事や会社を選ぶ若手世代、自分に合った方法で転職活動を進めやすくなった時代。今後ますます、自分に合った働き方を求めてアクションする人は増えていくのかもしれません。

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【調査概要】マイナビ転職『2022年新入社員の意識調査』
調査期間:2022年6月17日(金)~6月20日(月)
調査方法:2022年卒の新入社員を対象にWEB調査を実施
有効回答数:800名(内訳:22歳~23歳の男性400名、女性400名)
※調査結果は、端数四捨五入の関係で合計数値と合わない場合があります
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マイナビ転職「キャリアトレンド研究所」では男性育休、週休3日制、ジョブ型雇用、副業、ワーママの働きやすさなど、さまざまなテーマで調査を行っています。
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