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20~30代が今できること。将来キャリアの幅を広げるコツとは?|転職支援のプロフェッショナル 山田実希憲さん

こんにちは、マイナビ転職公式note編集部です。

皆さんは何歳まで働き、今後どのようなキャリアを築くのかなど、将来のことを考えたことはありますか? 定年退職の年齢は延長傾向にあるなかで、ミドル・シニア世代の活躍は今後ますます重要になり、転職市場も今後さらに拡大することが見込まれています。

ミドル・シニア世代になった際に転職する可能性もある世の中で、どのようにして自分の価値を高め、未来の選択肢を広げていくべきなのでしょうか?

前回に引き続き、5000名を超えるビジネスパーソンの転職相談を受けてきた転職支援のプロフェッショナル・山田実希憲さんにお話を伺いました。心構えやキャリアの築き方、「ミドル・シニア世代になったら転職できないの?」といった疑問にお答えします!


◆ミドル・シニア世代になって求められる人材は「成功も失敗も重ねてきた人」

ミドル・シニア世代の転職で大事なのは、「営業を30年やってきた」と業務内容をザックリ伝えるのではなく、自身がこれまで生み出してきた成果や業務にどのように取り組んでいたのかを分析して「この条件下で、こんなことを実現してきました(=だから御社でも再現できる可能性が高い)」と言葉にして伝えることです。

そのためには日々、業務改善や新規事業の企画開発、新部門の業務フロー作成など、新しいことへの挑戦をおすすめします。社内での新しい取り組みに抜擢されるよう働きかけるのもいいでしょう。ただ「失敗したらどうしよう」「職歴にキズがついて将来の転職に不利になるのでは……」と躊躇する方もいるかもしれません。

でも失敗を恐れなくても大丈夫。その失敗から何を学んだのか、失敗を通して次にどんなチャレンジをしたのか。どの工程でどのような課題が発生し、どう軌道修正したのか。あなたがどれだけ仕事と向き合い、考えながら歩みを進めてきたかが大事だからです。成功も失敗も経験の1つになります。

◆仕事を自分事に捉え、「自走できる人」に

若手であれば上司や同僚の励ましなどでモチベーションを保つといったこともありますが、ミドル・シニア世代の場合は、モチベーションや目標設定などを自身でコントロールする「自走」が求められます。

とはいえ、人間ですから年齢を重ねていたとしても感情の浮き沈みはなくなりません。組織の中での自分の役割や目的を改めて思い出してみることで、“沈み”の期間をなるべく短くするよう心がけてみましょう。

もう1つ、マインドの面で大切なのは、他責思考に陥らないことです。「自分が上手くいかないのは環境やメンバーのせいだ」と考えてしまうと、本質的な課題や要点を見逃してしまいがち。

人を動かすスキルや、広い視野でプロジェクトを俯瞰するチカラにも悪影響を及ぼします。将来、転職時に自分が成し遂げたことを面接で伝える時にも、他責思考が透けて見えてしまうと印象ダウンの原因になるので、注意が必要です。

◆直近でも60代2名が転職成功。何歳でも転職できる!

ミドル・シニア世代で転職を希望する方の心配の1つに、転職回数があります。気にされる方も多くいらっしゃいますが、転職回数よりも転職先でどのような貢献ができるのか、自身の価値やプロセスで生じた思考と行動を適切に面接で伝えることができれば問題ありません。

では、年齢はどうでしょうか。結論からいえば何歳でも転職はできます。直近でも、60代の方の転職支援に携わり、転職が実現しました。

建設会社に技術本部長として採用されましたが、当初は年齢制限が設けられていました。しかし「最優先すべきは経験とスキル」であって、新たな部門でのリーダーを探しているという背景がわかり、年齢ではなく、スキルやマネジメント経験が上手くマッチングして晴れて入社となりました。他にもアカデミックな知見を活かした企画ポジションで、転職後に大活躍した60代の方もいます。

転職の実現と活躍に繋げるための大切なポイントは、自らの成果や経験の履歴をアウトプットしておくことにあります。転職意志を胸の奥にしまって、どんな仕事をしてきたのか、何に貢献できるのかが言語化されていなければ、探している会社や機会と出会うことができません。求人サイトへの登録やSNS(LinkedIn等)での発信など、自分の強みや経験をアウトプットして、声をかけてもらえる状態を作っておきましょう。

アウトプットするためにも、キャリアの棚卸しは過去と現在の自分を見つめ直すきっかけになります。意識したいポイントは、職歴に“グラデーション”をつけること。職務経歴書でよくあるのが、淡々とやってきた業務を同じ文章量で書き並べるケースです。職歴を振り返ると、上手くいった時期もあれば、あまり成長していなかった時期もありますよね。上手くいった時期は内容を手厚く書くなど、職歴の濃淡がわかるようにすることをおすすめします。

◆先を見据え、今できることをやる

これまでに述べた心構えや準備に加え、これからの世の中の需要を自分なりに考えておくと、自分の何を伝えるべきかが明確になります。今後社会がどう変わる可能性があるのか? そこでどんな仕事ができるのか? 仕事の成果は出世競争のために追求すると考えるのではなく、“外に向けた目”を持つ人材がこれからさらに求められていくことでしょう。

ミドル・シニア世代で転職に成功した方々をみていると、皆さん「今まで目の前の仕事にしっかり取り組んできた人たち」という共通点があります。

自ら思い描いた通りのキャリアを歩んできた人はほとんどいません。会社に属する以上、異動や転勤を余儀なくされることもありますし、事業や会社そのものが方向転換することもありえます。そのなかでできることは、やはり目の前の仕事に取り組んで、経験を積み、なんらかの成果を上げることです。

「転職のために市場価値を高める」のではなく、「自身が成長した結果、市場価値が高まり、転職が上手くいった」という考え方をおすすめします。今は転職を考えていない方も、経験や実績、どのような条件がそろって成果が出せたのか言語化を進めておくことで、いざ転職の機会がきた時には、伝えるべき自分がスムーズに整理できるはずです。

また、個々の状況によりますが「今の年収をちょっと上げるためにひとまず転職しよう」とキャリアをただの点として捉えて、短期的視点だけでした転職はうまくいかないケースがあります。入社はゴールではなく、新たなスタートです。オファー提示された年収だけをみて判断せず、なにを評価する会社なのか、そのために貢献できる自分の価値はなにか、ここも言語化した上で、中長期的な視点で転職を捉えてみましょう。

「今」やっていることが、将来に繋がっています。目の前の仕事にしっかり向き合って振り返ることが、納得のいく転職、キャリアづくりのヒントになるはずです。


【プロフィール】
山田実希憲(やまだ・みきのり)|株式会社ミギウデ CEO/FLAGSHIP合同会社 ディレクター
 
大学卒業後にリフォーム会社に就職。30代で経験した転職活動が、自らが人材紹介業に関わるきっかけとなり、JACリクルートメントに転職。その後、GeminiCareerで代表取締役CEOとして経営人材紹介、女性経営人材育成プログラム開発に携わる。現在はミギウデで事業承継を支える経営チーム紹介など、企業に対する課題解決型の人材紹介、組織コンサルティングとともに人材のキャリア構築を支援。

著書に『年収が上がる転職 下がる転職(すばる舎)』『いずれ転職したいので、今のうちに自分の強みの見つけ方を教えてください!(ぱる出版)』がある。

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