立場に関係なく、全員が本気になれる。Webディレクターが思うクリエイティブ業界のおもしろさ｜株式会社スキーマなかむらしんたろうさん【後編】

2024年3月8日 11:30

スマホアプリやWebサイトなどデジタルコンテンツの企画・制作を行う少数精鋭のディレクター集団、株式会社スキーマ。そこで7年間、Webディレクターとして活動しているのが「なかむらしんたろう」さんだ。

今では個人でフォトグラファーの仕事も受けている彼だが、もともとは名古屋の物流会社で人事職を務めていたという。そんな彼が東京に出て、クリエイティブ業界に飛び込んだのは27歳のとき。物怖じすることなく堂々と話す今の彼の姿からは想像もつかないが、転職当時はやはり大きな不安があったそうだ。

人事からWebディレクターへ。一体どのようにしてまったく異なる業界・職種への転職を果たしたのだろう。今回は、なかむらさんが普段から利用されているというコワーキングスペース「( tefu) lounge shimokitazawa」でお話を伺った。彼のお話から「会社員として意識しておくと良いこと」「次世代を育てる大切さ」など、さまざまなヒントを得たいと思う。

会社は上手に利用して、成果を還元することを考える

「僕はWebディレクターというポジションなので、どのようなチームを組めばクライアントと制作サイド双方のモチベーションが上がるか、連携が取りやすいか、ということを日頃から考えるようにしています。もちろん仕事は成果が大事ですが、チームで形にしていくプロセスだって大事。一緒に仕事をする皆にはできるだけハッピーな状態でいてほしいから、笑顔でいられるための座組みや条件をうまく作っていくのが僕の役目だと思っています。

あまりにも自由な動き方をしているので、周りからはよく『会社員なんだ』と驚かれることも多いのですが、むしろ僕は『うまく会社を利用し、どのように会社に還元するか』を常に意識して行動するように心掛けています。

会社の名前や環境を使ったら、実現しやすくなることはたくさんありますし、反対にプライベートで培った関係性を会社の仕事につなげていくこともできる。スキーマという会社がなんでもできる環境であるからこそ、今は会社の活動と個人の活動をうまく掛け合わせながら、互いに満足がいくパフォーマンスができている気がします」

下北沢にあるコワーキングスペース「( tefu ) lounge shimokitazawa」にて

クリエイティブの仕事を通して、誰かと一緒に “本気” になる

「仕事って『誰かと本気になれる良い機会』だと思うんです。友達だろうと、さっき会ったばかりの人だろうと、仕事となったら一緒に本気になれる。

クリエイティブ業界の魅力って、立場に関係なく本気で良いものを作りたい人が多いところにあるのかもしれません。チームメンバーとアイデアやスキルをシェアしながら、より良い結果を生み出すことができるし、刺激を受け合うからお互いの成長にもつながる。それと、ゴールまでが割と短期間でかつ目に見えやすい点もこの仕事の良いところだと思います。

一方で、採用や教育の仕事は数年～10年単位じゃないと結果が見えないものが多いです。人を育てるのはすごく時間のかかることだから。ただ、今の仕事を始めてから会社という組織で次世代を育てる大切さをより実感するようになってきたんです」

未来に向けて、小さな種まきを

「例えば、僕がこの先1人で仕事を続けていたら、経験値は貯まるけど若年層に響くアイデアは出てこなくなるかもしれない。一方で僕が後輩を育てれば、僕の考え方や経験、アイデアを吸収した後輩は新しい企画を生み出すことができる。

そうやって積み重ねたものを受け継いでいくことで、仕事や事業が続いていくと思うと、会社で人を育てることはすごく意味のある行為だと気づいたんです。だから今は、その見えない未来に向けて種まきをしている最中。何がどうなるか分からないからこそ、いつか芽がでるその日を楽しみに小さな種をたくさん蒔いて、じっくり育てていけたらと思います」