外資系化粧品メーカーから日系、そして総合商社へ。キャリアと未来を切り拓くために必要なものとは?|総合商社勤務 藤田悟さん【前編】
大学時代にマーケターを志し、新卒で日本ロレアル株式会社に入社した藤田悟(ふじたさとる)さん。そこで日本市場のマーケティングを経験した彼は、その後ブランド開発を行うために株式会社資生堂に転職。日焼け止めのイノベーションプロジェクトや、Z世代の男性に向けたスキンケアブランドの立ち上げなど、数々の事業を経験してきた。
外資系から日系化粧品メーカーに転職したことで、自身のキャリアやスキルを伸ばしながら社内でも活躍してきた藤田さんだったが、2024年秋より新しく総合商社に転職することを決めたと話す。
今回はそんな藤田さんにお話を伺い、「逆境の乗り越え方」や「マーケティングの魅力」など、キャリアを築くうえでのさまざまなヒントを得たいと思う。
“ない道をつくる人” への憧れが導いた、外資系化粧品メーカーでのマーケティング職
「就活中はとにかく『マーケティングがしたい』という気持ちが強かったため、商材にはこだわらずメーカーのマーケティング職に絞って採用を受けていました」
新卒で日本ロレアル株式会社にマーケターとして入社した藤田さんは、自身の就活時代を振り返りながらこう語り始める。
「就活をしようにも、当時の自分は何をしたいのかも分からない状態でした。とにかくまずはたくさんの人の話を聞いてみようと思い、多種多様な企業に勤める先輩たちのお話を聞きに回ったんです。
そうやってさまざまなお話を伺ったなかでも、特に心揺さぶられたのはある飲料メーカーの方から聞いた、低アルコール飲料のブランド開発ストーリー。『ない道をつくる人はかっこいい』と憧れを感じ、自分もいつか “未来の当たり前” になるようなブランドやプロダクトをつくってみたいという想いが芽生え、新卒ではマーケティングの仕事を志すようになりました。
どうしてもマーケティングの仕事がしたかったため、総合職ではなく、マーケティング職採用を行っている企業かマーケティングが強いとされている企業に絞って採用を受け、最終的には外資系化粧品メーカーに入社することに。
一般的にマーケティングはデータを用いてロジカルに分析することから “左脳的” な仕事だと言われていますが、ロジカルという常識を壊して、『かわいい』『きれい』といったお客さまの”右脳的”な感覚も大切にしているロレアルであれば『右脳と左脳のバランス』が備わったマーケターになれるのではないかと思い、入社を決めました」
反骨心で乗り越えた辛い2年間。ある気づきをきっかけにマーケターとしての自信を得る
「入社して配属されたのは、百貨店に展開するブランドを扱う事業部。そこから3年間はとあるブランドのスキンケア商品のプロダクトマネージャーとして、社内のさまざまな職種の人たちを巻き込み、商品をお客さまに効果的に届けるためにキャンペーンやプロモーションを企画実行したり、サプライチェーンやファイナンスの人たちとコミュニケーションをとりながら、フランスから日本へ商品を安全に届けたりする仕事をしていました。
プロダクトマネージャーとしての仕事はマーケティング要素はありつつも、商品に関わるすべての事柄を俯瞰して見なければいけなかったためとても大変で、最初の2年間はほぼ毎日のように叱られていたと思います。
正直会社に行くのが辛い時期もありましたが、それを乗り越えられたのは、マーケターを志した当初の『何かを残したい』という強い想いがあったから。成し遂げたい目標を達成できないまま終わってしまっていいのか? という反骨心が強かった気がします」
そんな2年間を過ごした藤田さんだったが、入社して3年目のタイミングで彼自身を前進させる大きな気づきを得たという。
「当時、担当していたアンチエイジングの商品をお買い求めいただくお客さまに対して、『シミやシワがあるとどういう気持ちになるんだろう?』と真剣に考えた結果、“美” は人の大きなモチベーションにつながることに気づいたんです。
その気づきをきっかけにターゲットへの理解も深まり、インサイトを突き詰めて考えられるようになったことで、ようやく社会で戦えるマーケターになれたと、自分の仕事に対して自信を持てるようにもなりました。何度も壁にぶつかり失敗したり怒られたりしながらも、自分のなかにその経験や学びを蓄積していったからこそ得られた自信だと思うと、それまでの2年間は確かに辛かったですが、自分にとっては必要なプロセスだったのだと感じます」
『0→1』の仕事に関わるために転職したのは、化粧品の未来につながるアイデアを探す部署
「マーケティングスキルを使って新しいものをこの世に生み出したいという想いで入社した1社目でしたが、実際に自分が担当したのはすでに出来上がった商品やブランドを大きくしていくような『1→100の仕事』の方で、次第にやりたいことが叶えられない難しさや理想とする仕事とのギャップを感じるようになりました。
そこで改めてブランド開発や商品開発といった『0→1の仕事』がしたいと思い、転職を考えるように。まずは情報を得る間口を広げるためにも、転職サービスやプラットフォームに多数登録し、そのなかでエージェントやヘッドハンターと相談しながら見つけた転職先が資生堂でした。
0→1がやりたいという想いから始めた転職活動でしたが、実際に入社したのはスキンケアの未来を考えて事業化できることを探す部署で、言い換えれば0→1の0になりそうなアイデアの種を探す部署。0→1にできそうなものは何かを学べる仕事はユニークでとても面白そうに感じましたし、いつか0→1の仕事につなげるためにも、今学んでおく必要があると確信しました。
しかし最終的な決め手は、その企業から『自分は必要とされている』というメッセージを強く感じたこと。世界で勝てる日本発の会社になるためにも、世界で戦ってきたノウハウやスキルを持った人材が欲しいというメッセージが伝わり、これまで自分が蓄積してきた知識やスキルを生かし、貢献したいと思い入社を決めました。
自分はこの転職をきっかけに年収を上げられたのですが、やはり自分が今持っているものと会社が求めるものが重なれば重なるほど評価してもらいやすくなりますし、入社後も一層スキルアップやキャリアアップがしやすくなるのではないかと思います」
総合商社勤務 | 藤田悟さん
1991年生まれ。2015年に新卒で日本ロレアル株式会社に入社。日本市場のマーケティングを経験した後、ブランド開発を行うため資生堂へ。入社後は、日焼け止めのイノベーションプロジェクトに携わり、その後BAUM(バウム)、SIDEKICK(サイドキック)などのブランドの立ち上げに携わる。約10年間のマーケティング経験の後、現在は総合商社に勤務。
※こちらの記事は2024年10月29日時点の取材をもとに作成されたものです。
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マーケティング(企画)の仕事
https://tenshoku.mynavi.jp/sp/topkwex20/?src=note
化粧品に関する仕事
https://tenshoku.mynavi.jp/ft/cosmetics/?src=note
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