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【後編】人とのコミュニケーションが苦手。克服して得意にするために大切なことは?|DE 磯村芳子さん

農学部からITコンサル、広告へと大きく業界をまたいだ転職をした磯村芳子(いそむら よしこ)さん。

インタビューの前半では、なぜ彼女が思い切った転職をしたのか、仕事への向き合い方やキャリアに悩んだときの考え方などについて伺った。そんな彼女が転職後に感じたことや自分の苦手に対してどのように向き合っているのかさらに聞いてみた。「自分にとって仕事とは」「自分に向いている仕事はなにか」と悩んでいる人に少しでもヒントになれば嬉しい。
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「価値」を伝えるお手伝いがしたい

「転職してから『これがやりたかったんだ!』と思える瞬間が多くなりました」と話す磯村さんの表情は明るい。

「広告業界に興味を持ったのも、もとを辿れば旬八青果店での経験が大きいです。規格外の野菜や果物って、形がいびつだったり傷が入っていたりするだけで、スーパーではなかなか売れない。

でも八百屋であれば、この野菜はこういう地域で作られていて、こういう食べ方をすると美味しいですよ、と伝えることができる。感情やストーリーを乗せて伝えることで、より価値が伝わって売れなかった野菜が売れだす瞬間を目にした時、喜びと同時に、こういうことがやりたいと思いました。

広告の仕事もとても似ています。私はまだ伝えきれていないコト・モノの魅力や価値を多くの人に伝えるお手伝いがしたい。 今プランナー兼プロジェクトマネージャーとして働いています。広告やイベントなどの企画を考え、実現まで持っていくのが主な仕事ですが、他にもSNS運用をしたり、千葉の廃校を活用したプロジェクトでは雑草を刈ったり。言い換えれば『なんでも屋さん』なのですが、手ごたえを感じられる仕事がしたいと思って転職したので、泥臭いくらい自分の手と足が動かせる今の仕事はすごく楽しい。この働き方が自分にはあっているんだと思います」

苦手意識をバネに、新しい得意を作る

「これまでで一番印象に残っているお仕事は、渋谷のMIYASHITA PARKで開催した『KIFFma(キフマ)』という寄付を前提としたフリマイベントです。

その時お世話になった方に『スーパーホスピタリティお姉さん』と呼んでもらえたのがすごく嬉しかったです。実は小さい頃から人とのコミュニ ケーションが苦手でした。そこに強烈なコンプレックスを感じていて、改善できるようにずっと意識してきたんです。この人にはこういう伝え方をしたほうが伝わりやすいだろうなとか、これはこのタイミングで伝えるのが良いだろうなとか。誠実で丁寧なコミュニケーションを心掛けてきたからこそ、その部分を評価してもらえたのはとても嬉しかったです。

大切なのはまずは自分から心を開くこと。そして、相手に対して能動的に心を配り続けること。そういったことの積み重ねで、人とのつながりができていくんだと思っています」

向いているのは、良い意味で“飽き性”なひと

コンサル業界から広告業界への転職。一見異なる2つの業界だが、その両方を経験した磯村さんから見えたのはある共通点だった。

「コンサルも広告も、目的は課題解決であるという点では同じですが、解決方法や現場でのコミュニケーション方法はかなり異なっています。

例えばコンサルでは自分に与えられた時間の中で 『結論』から話すことが求められていましたが、広告ではみんなで『雑談』をしながら一つの企画を作り上げていくことの方が多い。正直転職したばかりの頃は、結論から話す癖がついていたので、雑談がうまくできずとても苦労しました。

ただ、コンサルも広告も、常に同じ企業の同じ商品を扱っているわけではないので、何にでも興味を持てて、楽しめる人の方が向いていると思います。実際、そういう人の方が『雑談』も上手だったりする。次から次へと新しいものに興味を持って楽しめる、いわば良い意味で“ミーハーで飽き性”の私は、コンサルも広告も業界的にはフィットしていたんだと思います」

仕事があるから「生きている」と思える

磯村さんにとって「仕事」とはなんだろうか。 

「自分が『生きている』と実感できることの1つです。仕事に正解はないし、悩むこともあるけど、だからこそ面白い。 仕事があるから、毎日イキイキできているんだと思います。私は仕事とプライベートを完全に切り分けていません。めちゃくちゃミーハーな性格なので『最新情報を知りたい』と思って調べた知識は、仕事でも役立っていたりします。

ただ常に仕事が頭にある分、パソコンの通知をオフにして意識的に仕事から距離をとる時間も作っています。たまにオンオフを切り替えることで、また仕事を頑張れるんです。

今は少数精鋭の会社にいるので、結果を出して早くキャリアを作っていかなきゃという焦りもあります。一方で、身体的にも妊娠や出産にはタイムリミットがあるので、そこも考えなければいけない。今後はライフステージの変化にも対応しながら、どこにいても仕事ができるように、スキルや得意を増やしていく必要があると思っています。その中でも特に『言葉』の力をもっと磨いていきたいですね。

これまでもこれからも、基本的には『やりたいことは全部やる!』という気持ちでいるんです。やらないで後悔するより、やって後悔したい。自分のために人生を生きたいと思っている。ただ最近では『しなやか』という言葉も大切にしています。芯は強くても、ちゃんとゆらげる柔らかさを持つことが大切だと感じています」

物腰は柔らかだが、磯村さんの言葉には確かに強い意志が感じられた。

「やりたいことをやる」

一見シンプルに見えて、なかなか難しい。その一歩を踏み出す勇気がないために、あれこれ理由をつけて、後回しにしたくなってしまう気持ちもわからなくない。しかし今回のお話を通して、自分の想いを大切にして転職という一歩を踏み出した彼女の言葉から、その勇気を少しだけ分けてもらえたのではないだろうか。

また、磯村さんが周りから『得意』だと認められている部分は、実は過去に彼女が『苦手』だと感じ、 それをバネに努力で伸ばしてきた部分である。できることを増やして、やりたいことを叶えるために。この先も貪欲に、新しいことに挑戦し続ける彼女の姿が想像できた。

株式会社DE(ディーイー)プランナー兼プロジェクトマネージャー / 磯村芳子

アクセンチュア株式会社でITコンサルタントとして新卒から2年勤務後、株式会社DEに入社。広告やイベントの企画〜実現までを行うのが主な仕事。他にも、SNS運用、イベント設営など、「なんでもやります」の精神で肩書きに捉われない幅広い働き方をしている。第一次産業や地域の課題に特に興味を持つ。好きな食べ物は白米。

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