«前編»【後悔したくない】好きなことは思い切ってやった方がいい。一度は諦めたイラストの道を志す|ACES 人事 濱田優也さん
東京大学松尾研究室発のAIスタートアップACES(エーシーズ)で人事を担当しながら、個人でイラストレーターとして活動されている濱田優也(はまだゆうや)さん。
平日は会社員として先進的な領域で仕事をしつつ、休日は首都圏を中心に数多くのイベントに似顔絵を描くブースを出店。音楽フェスや、アパレルショップのポップアップなどで、会場に訪れたお客さんの似顔絵を描いたりと、活躍の幅を広げている最中である。
そんな濱田さんは、過去に2度の転職を経験。ファーストキャリアは大阪で銀行の営業だったという。一体彼は、どのような経緯で今の働き方に辿り着いたのだろう。濱田さんの生き方や働き方から「異なる業界や職種で共通している大切なこと」や「成長するための考え方」など、さまざまなヒントを得たいと思う。
一度は諦めたイラストレーターの道を、再び歩き出すことに決めた大学時代
「実は一度、イラストレーターの道を諦めたことがあったんです」
幼少期からイラストを描くことが好きで、高校生までは漠然と将来は絵を描くことを仕事にするものだと思っていた濱田さん。しかし大学進学のタイミングで美術大学に行くことを諦め、文系の大学に進むことを選んだという。
「果たして自分の才能で飯は食えるのか。その問いに対して、イエスと答えられるだけの自信が当時の僕にはなかった。しかし大学3年生の時に海外留学を経験し、世界には僕の知らない価値観の人がこんなにもたくさんいて、皆それぞれ自由に生きている。生き方に正解なんてない。そのことを知ったとき、やっと僕も『好きに生きていいんだ』と思えるようになりました。
例え仕事にならなくても、自分の好きなことをやる人生の方がきっと後悔しない。そこで改めて本腰を入れてイラストをやろうと決心し、卒業後も仕事と並行してイラストの活動が続けられるよう、プライベートの時間が確保しやすい銀行の営業職を選びました。
そして社会人1年目のとき、イベントに似顔絵を描くブースを出店した際には、なんと100人以上の方に来ていただけたんです。『自分が好きでやっているイラストは、誰かに求められる価値のあることだった』と自信がついて、この先もイラストを描き続けるのであれば、副業が認められている会社に転職したいと考えるようになりました」
人生の“モットー”を決めたことで前進した転職活動
銀行を退職後、副業可能な企業への転職を試みた濱田さん。しかし副業を前提とした転職活動は、当初はなかなかうまく進まなかった。
「そこで改めて、自分自身について深く見つめ直す時間を作りました。自分にとって幸せとはなんだろう? そのために自分はどのように生きていきたいか。その問いかけの答えとして“Live your life,with your love.”という言葉を自身で考えました。
自分の人生を自分の意思で決めて生きること。そして、自分の大切な人をちゃんと愛すること。この2つがクリアできたら僕は幸せなのだと気づき、忘れないよう自分の人生のモットーとして掲げることに決めました。
そうやって大切にしたいことが明確になったことで、その後の転職活動ではミッションやビジョンといった、企業が何を大切にしているかを重視するように自然と視点が変化したんです。中でも株式会社div(ディブ)は『人生にサプライズを』というミッションを掲げており、プログラミング教育を通して成功体験を得られるという事業内容にも共感したため、この会社で働きたいと思い、同じ営業職で転職することにしました」
人生の転機に関わりたい。営業から人事へ職種を変えて気づいたこと
銀行からITベンチャーに転職した濱田さん。その半年後には人事へと職種が変わり、さらに大阪から東京への転勤も経験したそうです。職種や業界、そして勤務地が変わるなどの大きな変化は、彼にどのような影響を与えたのだろうか。
「職種は違えど、その人の人生の転機に関わる仕事がしたい。そのような想いがあったため、前から人事という仕事に興味がありました。僕自身がそうだったように、転職って人生が変わる大きなきっかけじゃないですか。
なので今、採用という仕事を通してその人の人生の転機に関われることがとても嬉しく、日々やりがいを感じています。それに、いつか東京でもイラストレーターをやりたいと思っていたので、転勤で東京に来れたのも僕にとってはポジティブな人生の転機だったと言えますね。
異なる業界や職種を経験した今、営業でも人事でも、仕事をする上で共通して重要だと気づいたことは2つ。まず1つ目は、自分が話すよりも先に、相手の話に耳を傾けること。伝えたいことを一方的に話すのではなく、相手が何を思っているかをヒアリングすることが大切で、相手の気持ちをキャッチするスキルはどの業界や職種でも大切だなと感じました。
そして2つ目が、先行事例から学ぶ姿勢を持つこと。何も調べず最初から人に尋ねるのと、自分で調べてから分からない部分を教えてもらうのでは、圧倒的に身につく度合いも違います。世の中が変化するスピードがどんどん速くなっているからこそ、過去の事例や経験から学び、新しい状況に適応していくことが大切なんだと思います」
株式会社ACES 人事/イラストレーター|濱田優也
新卒で銀行に入社したのち、テクノロジー教育事業を行う株式会社divに転職し、採用や人材紹介などのHR領域の業務に従事。2022年より現職の株式会社ACESに二度目の転職をし、HRとして人事領域を担当。会社員の傍ら2018年よりイラストレーターとして活動し、似顔絵のPOPUPをアパレルショップやカフェとコラボし開催するほか、雑誌や商品パッケージのイラスト制作など幅広く活動中。
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